HOME相撲漫画@(岡本一平作)
 相撲漫詩 C
源氏山が土俵に上がれば
やれやれ 又 待ったに時間がかかるだろ
今の内に桟敷客みんなしっこに
立ちにけるかも

 相撲漫詩 D
今日は賽日
お店のものらし三人
赤、黄、青三種の大布を持って来て仕切に振り回してる
不景気のこのかたお前のとこの旦那の顔も
丁度そのように変わったろ

 相撲漫詩 E
国技館の天井の丸窓から
岸精一さんに日が射せば
子供の帽子で遮ったり
法学博士が可愛らしい
小学生徒になりにけるかも

 相撲漫詩 F
物言いついた清瀬の周囲へ
押し寄せた東方ひいきのひき倒し
雷検査役が「わし等の話に
口を出して貰っては困る」といえば
「批評する事は見物の自由だろ、エエ」
手におえぬ。

 相撲漫詩 G
紅葉に押された大錦あわや、
土俵を割ろうととして危うく押し戻した時の
横綱の足の位置、
みなさん、子を持っても相撲取りにだけは
させなさんな、命がちゞむ。

 相撲漫詩 H
平福百穂画伯と森田恒友画伯と
その渇仰者に連れられて来て見て居る。
何れ帰りにはご飯を差し上げて
序に一寸一筆願はれるかも判らないとも、
知るや知らずや二画伯は
無邪気な顔をして相撲を見て居る。

 相撲漫詩 I
大錦と相撲すべく控部屋で支度してる三杉磯
もう気を逸らしてる様子
外したふんどしを締込みを締めさせてる
取的の頭上に振って
「今日は潜航艇で一番ばん、と行く、信号の印じゃい」と

 相撲漫詩 J
摩耶嵐を捲き落そうとした
手が外れりや若湊はうしろ向き。
摩耶「若ちゃん、抱っこして上げるから、
土俵の外へお出でなね」
若「あたい、嫌だい、嫌だい」

 相撲漫詩 K
○○○○会なるものが
三階より沢山宣伝ビラをまいた
鳩の群れの降りるよう、
やっと一枚を手に入れたお酌妓
「姐さん、國賊○○主義を殺せ、
と書いてあってよ、なあに?」
姐さん「やっぱし活動写真の広告じゃなくって」

 相撲漫詩 L
人並みの背丈で長尺ものの対馬をつれば
おつりが出る筈
それを敢えてし乍ら
今更のように
おつりの仕末に困ってる
小松山かな

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